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エレクトリックによるオンタイムイベント

カテゴリー : 他エンデューロ


公式
 昨年十二月のことです。北ヨーロッパのデンマークにおいて、史上初のエレクトリックマシンによるオンタイムエンデューロが開催されました。

 Co2の排出量の論議については、エレクトリックの場合、バッテリーの製造段階などを含めて、総量で考えれば決して負荷は低くないと言われます。しかし、自然の中に直接入っていくオフロードモーターサイクルの場合、そこから排出される排気ガスが、ストレートに自然に負荷を与えることになるわけです。また、近年特に問題となっているのは、ノイズの問題です。特に4ストロークマシンの排気音は、低周波を伴って遠くに届くことが知られており、ヨーロッパでも騒音に対する苦情が深刻です。FIMは年々ノイズ規制を強化していますが、限界はあります。

 こうしたことから、将来に向けてエレクトリックに注目が集まっています。しかしながら、既存の大メーカーは研究は行っていますが、本格的な販売はまだ開始していません。それは、まだモーター出力やバッテリーの能力といった性能面、コストの面で課題を抱えているからです。

 主催者や関係者の意図は、こうしたレースイベントを実施することにより、エレクトリックビークルの社会的な認知度を高め、普及への布石とすること。また、レースは実験室と言いますが、近い将来エレクトリックのレーシングシリーズが実現すれば、技術開発の研鑽の場となるでしょう。
 エレクトリックのマシンは、現在のところ小回りの利く小規模なベンチャー型のメーカーから販売されているのみというのが実情です。例えば以下のようなメーカーが現在実用的なマシンを販売しています。

「クアンタヤ」
http://quantya.com/

 このレースイベントは、このスイスのメーカーのマシンを使う、ワンメイク体制で行われることになりました。


 FIMは、現在モーターサイクルが抱える問題と将来のビジョンを模索しています。エレクトリックについても、その一つです。そして、このデンマークでのイベントの趣旨に賛同し、大会を承認して後援することになりました。

 大会には、呼びかけに応じて、近隣のヨーロッパ各国からの多くのトップライダーが参加しました。ベルギーの元モトクロスチャンピオン、ジョエル・スメッツ氏や、ダカールで活躍するノルウェーのパル=アンダース・ウルバルセター氏、スウェーデンの女性ラリースト、アニエ・シールさん、フランスのトップエンデューロライダー、ファビオン・プラネなど。

 デンマークは地理でも習うように、北には北欧、南にドイツという位置に浮かぶ諸島で構成された国です。レースイベントは、デンマークの首都コペンハーゲンのあるデンマーク首都地域近くの海岸線近くを舞台としました。

 競技は二日間制のオンタイムエンデューロであり、決められたスケジュールでリエゾンルートを走破し、合間にスペシャルテストでタイムを計測するものです。ルートは海岸線地域で、高低差は大きくありませんが、北ヨーロッパといえば地質はヘビーな砂です。湿り気を帯びるとかなり負荷が高くなります。これらの厳しい状況下でエレクトリックの耐久性が試されました。

 オンタイム制のレースは長時間、長距離に及びます。ここで問題となって来るのがバッテリーの容量です。エレクトリックのモーターサイクル。特にオフロードタイプの場合、搭載できるバッテリーの容量はそれほど大きくはありません。そこで、その能力から計算したルート設定を行い、タイムコントロールの合間には適時充電のポイントを設けます。バッテリー充電は、はガソリンのように短時間で満タンとはいきませんから、充電時間を要求します。そこで、充電の時間をライダーの休憩時間としてタイムスケジュールに定め、その間はそこに留まるように指定されます。

 エレクトリックの特性は、内燃機関のエンジンとは全く異なります。モーターはその回転開始時から、最大限のトルクを発生させることが可能です。もちろん、インバーターの制御によってスロットルの開け始めからの出力特性は、唐突なものにならないように制御されています。

 さらに異なる点として、エレクトリックには抵抗と重量増を嫌ってクラッチとミッションの機構がありません。このことから、クラッチによって出力をコントロールすることができません。滑りやすい土地において、クラッチによるパワー制御やミッションの選択というのは、実は大変大きな意味を持っています。

 滑りやすい状況で、常に同じような出力特性である場合、トラクションを失いやすいです。クラッチはそれを受け流したり、調整する機能を持つものです。第二のスロットルと言われる所以です。また、ミッションは減速比を変えることで、駆動トルクの特性を変化させることができます。たとえば、物凄く滑りやすい場所では、ローギアの高い駆動力では地面に対してトルクが過剰過ぎることがあります。こうした時、セカンドギアに上げてスロットルを穏やかに抜けることで、グリップを保つことができます。

 エレクトリックにはまだそうした機能がありません。足りない特性を補うには、リアブレーキを使ってパワーを制御するしかありません。これは既存のモーターサイクルの感覚とは異なり、慣れを必要とします。どちらかというとマウンテンバイクやバイクトライアルのライダーには分かりやすいかもしれません。

 ライダーたちは、海岸線のサンドや、濡れた林間など、様々なルートでこの新しいテクノロジーに触れました。そして、予想以上のパフォーマンスに驚いていました。確かに能力的には、4ストロークの125クラスくらいかもしれません。ですが、十分にコンペティションとして成り立つということを実感しました。

 スペシャルテストは、林間のテスト、ログなどを設置したエクストリーム、夜間ステージも用意されました。ただ、前述したクラッチが無い問題から、滑りやすい低速のログで苦労するライダーが多発した模様です。流れを切らさずに越えるのは難しく、クラッチでフロントアップのタイミングを取ることに慣れているライダーには、やや困難だったかもしれません。

 最終日には、首都コペンハーゲンにおいてスーパーモタードタイプのファイナルクロスが行われ、市民達にその様子が公開されました。

 概して、このイベントはよいアピールになったと言えます。エレクトリックはまだこれからの分野であり、将来的にそれが現在のマシンに成り代わるには、もっと長い時間が掛かるでしょう。しかしながら、歴史は今転換期に差し掛かっています。

 エレクトリックのレーシングシリーズが確立し、そこで技術競争が進むとすれば、それは面白いことになります。近年、レーシングでの技術開発というものは有名無実化し、ただのお題目になってしまった感もありますが、エレクトリックはこれからのフロンティアです。大きなメーカーだけでなく、小さなメーカーにもチャンスがあるかもしれません。現在のトップメーカーも、決してこれを無視はできないでしょう。
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